【コミュニケーション】まずは自分の恥をさらしてから、相手の本音を引き出す「自己開示の返報性」
■返報性のルールは本音を引き出すのにも有効
「他人から何らかの恩恵を受けたら、自分も相手に対してお返しをしたくなる」ことについて書きましたが、これを「返報性のルール」と呼びます。
実はこの「返報性のルール」は、相手の本音を引き出すのにも有効です。
なかなか本音を言わない相手から本音を引き出したいときは、まず、自分のほうから自分の本音を話しましょう。これを「自己開示」と言います。
自分の内面にしまっておいた恥ずかしい失敗談や、今まではとても人には話せなかったコンプレックスや弱みなど、あなたが自らそれらをさらけ出すことで、相手はあなたに親しみを感じ、共感を覚えて、つらつらと自分の本音や心に秘めていたことを語り出します。これを「自己開示の返報性」と呼びます。
■「自己開示の返報性」について
特にあなたが、相手にとって上司であったり、相手に対して評価を下す人である場合や、あなたが相手から尊敬される対象である場合には、まず、あなたから自己開示をすべきです。
相手はあなたのことを上下関係で見ていますから、あなたに本音を打ち明けることで「評価を下げるのではないか?」、
「こんなことを言うと、馬鹿にされるのではないか?」
「嫌われてしまうのではないか?」
ということを心配しています。
だから、相手はあなたに対し、一層ガードを固くしてしまっています。
そこであなたから自己開示して、
「自分が若かったころいかにダメだったか」、
「思慮が浅くて失敗ばかりしていたか」、
「上司にどれだけ怒られたか」、
「人に迷惑をかけてしまったか」
などのエピソードを相手に打ち明けるのです。
本当ならばカッコ悪くて、心の奥に秘めたままでいたい、そんなことを敢えて相手に伝えます。
「いやあ、僕も新入社員の頃、3つ上の先輩を怒らせたことがあってさ~」、
「オレも昔、本当に何をやっても売れなかったときがあって、京都支社の営業マンのなかでビリだったことがあるんだよ~」、
「僕が企画マネージャーをやってたときに、上司が嫌で嫌で仕方ないときがあってさ…」
と伝えます。ただ、相手が引いてしまうような暗い話は避けてくださいね。相手が不安にならないように、笑顔を浮かべて自己開示しましょう。
■「Let’s 自己開示」で信用される人になろう!
「えっ、自分の内面を自ら晒しだすのは恥ずかしい?」
いえいえ、大丈夫です。まず、あなたから自己開示することで、相手は「この人は、秘密にしていたことや自分の弱みを見せてくれた…」とあなたに親近感を覚え、自分を信用してくれていることを嬉しく感じます。
また、「この人にだったら話してもいいかも」と安心感を覚えます。
あなたが恥ずかしいと思っている話は、実は、相手にとっては興味深く、あなたの人間臭さを感じられるありがたい話なのです。そして相手はあなたの自己開示に応えようという気持ちが働き、「実は私も…」と本音を話しだすのです。
繰り返しになりますが、慎重な相手から本音を聴きたいときには、まずあなたから自己開示しましょう。
相手が隠している本音を聴きたいならば、まずは自分から本音をさらけ出す。
人間関係のギブ&テイクの論理がここにも働いているのですね。
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S&C.Labo 代表 田中和義
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